今回紹介するのは、当時の
Tactics(
NEXTON)の作品『
ONE ~輝く季節へ~』(以下『ONE』)。
前回紹介した『
MOON.』に続き、ゲームブランド
Keyの設立メンバーが携わった作品です。
こちらも『MOON.』と同様に、いわゆる“Key作品”に分類されるのが普通となっている感があります。
『ONE』は、『MOON.』と比較すれば知名度が高いのではないでしょうか。
プレイしたことはなくても、この作品を象徴する「
永遠はあるよ」「
ここにあるよ」という言葉を聞いたことがある方は多いでしょう。
こちらも『MOON.』同様、今となっては古い作品ではありますが、現在でもその影響が垣間見えるなど、非常に重要な作品の1つとなっています。
某
Wikipediaでは“
俗に言う「泣きゲー」のジャンルを開拓した作品の一つとして挙げられる”なんて紹介されていますねー。
「Keyのファンだけど、ONE?はなんか古いからいいや」と思っている方も、時間があったらぜひ1度は触れてみて欲しい作品です。
というわけで、今回は『ONE』について簡単に紹介します。
例によって、私もつい最近プレイしたばかりですg(ry
※
ネタバレは控えめですが、どんな些細な情報にも触れたくない方は読まない方がいいかもしれません。
紛れもない“Key作品”
『MOON.』のように「ジャンルも雰囲気も全然違うけど、確かにKeyのエッセンスがある!」というレベルではなく、『ONE』は紛れもなく“Key作品”と感じられる内容になっています。
まず、『ONE』はほぼ
正統な学園恋愛アドベンチャーです。
幼馴染がいて、転校生もやってきて、クラスメイトや先輩・後輩もいて、ちょっと特殊な子もいて……。
今からするとテンプレと揶揄されかねませんが、突飛すぎて馴染めない、ということはあまりなさそうです。
ですので、今までKey作品に触れたことがある方であれば、おそらくそこまで抵抗はないと思います。
しかし、
いたるさんの絵がまだまだ初期の頃であり、特にとあるCGは伝説として語らr……おや、こんな夜中にお客さんかn
『ONE』が紛れもなく“Key作品”である理由は、他にもあります。
むしろこちらの方が重要かもしれませんね。
それは
シナリオの構成・展開です。
前半は楽しい日常パートを描き、後半の個別ルートでは事件などが起こって暗い展開になる。
学園という現実的な舞台を用いながらも、物語の中心には非現実的な力や世界が存在する。
そうして紡がれた物語のクライマックスには、涙を誘うような展開が待っている。
現在にまで続くKey作品の基礎は、ここでひとまず築かれたと見ていいでしょう。
しかしながら、シナリオもまだまだ
荒削りな印象があります。
ぱっぱっと展開していくので、途中の過程の省略に伴うキャラへの感情移入不足が生じ、キャラの心情とプレイヤーの心情(あるいは理解)が乖離してしまう場面も。
緩急のつけ方が弱く、盛り上がるはずの場面なのになんとなく流れてしまうようなこともありました。
まあ、後者は特にm……おや、またお客さんg
荒削りな中で輝くもの
さて、先ほど“荒削り”という表現を使いましたが、これはあくまでも全体像としての印象です。
シナリオのノウハウをまだ探っている段階であるかのように、もっと作りこむべき余地がある状態でした。
しかし、もっと近づいてスポットライトを当ててみれば、部分部分としては素晴らしい点も存在します。
そういう点があるからこそ人気作品となったんだと思いますし、何より私が『ONE』で好きな部分でもあります。
ネタバレになるので詳しい内容は書きませんが、
限られた尺の中で上手くキャラの背景までを描く練られた展開や、
展開がある程度読めても心に突き刺さってくるようなシーンでは、「なるほど、やはりあの方には勝てんな」などと鳥肌が立ちました。
また、とあるヒロインとの
日常の異様に楽しいやり取りでは、「これはどう考えてもこの方の仕業だ」などと大笑いしましたね。
個人的にものすごくストライクな非常に上手い特徴づけをされたキャラと触れ合っている時には、「あの方のキャラづけは上手すぎる」などと楽しんだものです。
これらの点は、『ONE』を手掛けた2人のシナリオライターの後の作品にも受け継がれていくことになります。
そんなライターごとの特徴・傾向がはっきりと出たというのも、『ONE』の大きな特徴でしょう。
正統にして原型
ジャンルやシナリオ、ライターごとの特徴など、『
Kanon』以降のKey作品へと続くエッセンスを多分に含んだ『ONE』。
それは、まさに“Key作品”の
原型と呼び得る作品でした。
さながら、おおまかな形を削り出したばかりの彫刻、といったところでしょうか。
『MOON.』から始まった“Key作品”が、次第に作り込まれ、洗練されていく。
その過程を、『ONE』を通して楽しんでみるのもいいですね。
……どうでもいいですけど、椎名繭と椎名(Angel Beats!)、茜と朱音(Rewrite)で、意外と被ってるなぁと思ったり思わなかったり(いや、朱音はむしろ魅おn(ry)
繭といえば、どことなくまゆしぃ☆とm(ry
なかなか良作