1月18日(火)に
NHKラジオ第一で放送された『
渋谷アニメランド』。
今回ゲストとして登場したのが、このお方。
そう、Keyの麻枝准さんです。ついにNHKデビューを果たすとは、AB!以降の麻枝さんの勢いは恐ろしいですね……!
当日はNHKラジオ第一のトップページにも顔写真が掲載されていましたし。
マジイケメン!
この情報自体はかなり前に知っていたのですが、放送直前までそのことを完全に忘れていたのは、当ブログの記事を見れば一目瞭然です←
とりあえず、放送された内容をまとめてみましたので、聴けなかった方や、思い出したい方がいらっしゃったらどうぞ。
※なぜか『
AIR』及び『
CLANNAD』の
重大なネタバレが含まれています。未プレイ(視聴)の方は要注意!
※冨田氏の発言は一部省略・要約して掲載しております。
※本記事に掲載された文章に誤りや問題がございましたら、コメントやメールフォーム等でご連絡いただければ幸いです。可能な限り速やかに対応致します。
前半
――こんばんは、音楽評論家の
冨田明宏です。本日もゲストをお招きして、盛り沢山の内容でお送りしたいと思います。今日のゲストは、この方です。
○BGM 「夏影」麻枝 こんばんは、Keyの麻枝准です。お呼びいただきましてありがとうございます。
――本当にありがとうございます。今日もですね、麻枝さんといえばトレードマークといいますか、
サンダル履きでお越しいただきまして。
麻枝 はい! この……真冬に、はい。靴下と靴が大嫌いなんですよ。
――それは、拘束されるからですか?
麻枝 絞めつけられる感が……もう大嫌いで。だから絶対に、裸足、と、サンダルですね。もう吐く息が白くなったら、さすがに、仕方なく、靴にしますけど。今年はまだ持ってますね。
――(麻枝さんの簡単な紹介)
――麻枝さんといえば、ファンの皆さんにはおなじみの趣味がありまして、ゲームが大好きと。
麻枝 はい。新幹線乗ってくる時は、絶対に携帯ゲームするんですけど、
本日はPSPをご用意しました。この、ご紹介するゲームはですね、『コープスパーティー』っていうゲームで、『
コープスパーティー ブラッドカバー リピーティッドフィアー』っていう、副題がついててちょっと、今すごい……チャプター1のか、多分佳境なんですよこれ。
――あ、今これゲームの状況としては。
麻枝 はい、これCD(UMD)ガガガって読んでますけどね。この保健室で、この子がね……うわ、扉にたくさんの、黒い髪の毛が……あのー、絡まっていて、保健室から出られないんですよ。うわ! 何か、起きて、起きましたよ。ひ、人の気配が……。あっ! きゃああああああああ!! 黒い霧の……に、なん、絡まれてますよ。このまま取り込まれると危険です! いや離して! いやぁ!
――画面が黒く、暗転してしまいましたけれども。
麻枝 これは完全なる……
ゲームオーバー画面ですね。――麻枝さん負けてしまったということで(笑) とにかく今日はですね、ファンのみなさんからのお便りが盛り沢山で、出来る限り紹介したいなと思っております。
○お便り 「『Angel Beats!』を全て見させていただきました。抱腹絶倒しました! とても面白かったです!」麻枝 ありがとうございます。
○お便り 「だーまえ! AB!最高だった! 自分の生き甲斐になってます」麻枝 あぁ嬉しいです。
――麻枝さんは昨年『
Angel Beats!』というアニメで、ご自身としては初めて、TVアニメの作品の原作・脚本・作詞・作曲・音楽プロデュースを手がけてらっしゃったということで、大きな話題になりました。あらためて、『Angel Beats!』を制作して、今のお気持ちはいかがですか?
麻枝 もう一時期はすごい膨大な感想が、一気にこうネットに溢れかえって。で自分はそういうのを全部受け止めるっていう風なクリエイター精神でいるので、ほんと頭がおかしくなるようなね、いいのか悪いのか本っ当にこう賛否両論で。で、それが今ちょっと……ようやくね、あの再放送もそろそろ終わった頃で、冷静に受け止められるぐらいには……あの落ち着いてきて。最近分かってきたのは、結構
中高生とか、若い学生の、人気がすごくあるんだなっていうのを、最近実感して。一気に……ファン層がすごく広がった、作品で、今まではゲームっていうそういう、結構コアな部分で、自分……ていう立ち位置があったんですけど。この前もね、今行っている、その整体師さんがいるんですけど、そこの高校生の息子さんが、やっぱり『Angel Beats!』の大ファンで、『Angel Beats!』関連のCD全部集めてるって言ってて。んで、その友達もさらにファンで。今までそんなファンいなかったんで、今はほんとに心から、やって良かったていう風にね、思える作品になりました。
○曲 「My Soul, Your Beats!」――この曲は、イントロのピアノのフレーズから麻枝さんの旋律だな、っていうのは僕も感じます。キャッチーなメロディーで。
麻枝 おれのラジオでは、誰も紐解けなかった「
麻枝節」を、冨田さんも感じられていると(笑) 「麻枝節」とは一体何なんだっていうのを、ラジオで、追求したんだけども、結局答えが出なかったんですよ。もう最後なったらもう、とんでもない、「まえだー波が出ているから」、とか、そんな、すごい……なんか飛び道具的な理由が来て(笑) そんな、そんなことはあり得ないと思って。何かが、ほんとは、なんかあるんでしょうけど。
――あるランキングの調査会社の調べによると、昨年発売されたアニソンの中で最も売れたシングルとして『
My Soul, Your Beats!』が登録されておりまして、すごいことだなとあらためて思います。
麻枝 そうなんですよね。変拍子になってるんで、Aメロの入り口さえ、よく分からないっていう。レコーディングでも
Liaさん常にこう指で、こう数えてから……入ってたっていうぐらい。うん、自分でも、あのアレンジで、よくぞっていう感じですけれどもね。
――(『Angel Beats!』のあらすじ紹介)
――このアニメでの狙いというのは、どういったところにあったのでしょうか?
麻枝 まず、プロデューサーから来たのが、今まで通りの、笑いあり、泣きありの、Keyの、作風で、っていう。おれとしては、アニメは、やっぱり、次を、1話観たら2話を観たくなる、2話を観たら3話を観たくなるっていう風に、絶対にそういう風にしなければいけないって、おれなりにアニメいっぱい観て、そん時研究したんですよ。プロデューサーが言っていた、笑いと泣きだけでは、すごい静かなアニメで、全然こう引きが弱くて、面白くなくて、なんかこれは……1話だけで、「ああいい作品だったね」っていう風に、なっちゃいそうだったのをおれが恐れて、そういう静かな物語っていうのは……やめて。いきなりもうバトルやバンドを突っ込んでいって、とにかく動きのある物語にして、
最高のエンタテインメントを、作ろうっていう風に目指したっていうのが、狙いです、自分では。
――(Girls Dead Monster(ガルデモ)の紹介)
※冨田氏は『
Keep The Beats!』のライナーノーツを担当した。
○曲 「Crow Song」――ガルデモ最高ですね。ガールズバンド特有の青さみたいなものと……。
麻枝 はい、その辺は、意識しました。すごく、ええ。
――女の子たちがバンドを組んで、こういった曲やりそうっていうのを、第一印象としてすごく植えつけられた感じがして。
麻枝 でも実は転調しまくってて(笑) 学生は、こんな曲書かねえよっていう、実は、そうなんですけど(笑) うん、でも、本当に、もう……女子高生の等身大みたいな曲ができたと思ってます、自分では。
――(Girls Dead Monster(ガルデモ)の説明)
――その
LiSAさんと
marinaさん2人のシンガーは、麻枝さんがオーディションを実施して選ばれたということですけれども。
麻枝 はい、選びました。
――バンドとして結成させた目的はどういったものだったんでしょうか?
麻枝 まあ、さっき言ったように、エンタテインメントとして、最高なものにしたいというのもありましたけども、放映が始まったら、視聴者から、「これバンドいらないんじゃないか」とか、「麻枝がやりたかっただけじゃねーか」とか、もう「入れる意味がないだろ」とかよく言われたんで、でね、それをね、あの……以前、そのね、漫画家のね、
藤島康介さんと対談した時に、「いやー、ガルデモいらないってすごいよく言われるんですよ」って言ったら、「
みんな分かってないな! 青春といったらバンドでしょ!」って言われて、おれは目からウロコ状態になって、「ああ! その通りだ!」って思って(笑) だから、この学園の設定は、まともな青春を送れなかった若者達が、その青春をもっかい謳歌する場所っていう、救済場所なんで。だから逆に、そんな青春を謳歌するために、バンドがなかったら、その方が不自然なぐらいっていう風に、逆にその言葉で思えてきて。で、陽動になるぐらい、やっぱり、魅力と人気を持ったバンドじゃないと、設定に、あの、説得力がないと思ったから、だから、やっぱり、ちゃんとしたシンガーを、あの用意して、で、あの……魅力的な歌を歌ってくれる人っていうのを、その2人、marinaちゃんとLiSAちゃんっていうのを、探してきて。で、それが、あの、ガルデモたるバンドが、実際に、現実にも、あの、活動しているかのように、こう錯覚できるぐらいになったら面白いなって思って、あの、CDも1クールアニメにしてはおかしいぐらいの量をね、出しました。
○曲 「Alchemy (Yui ver.)」――LiSAさんのストレートな歌声、すごくかっこいいです。
麻枝 かっこいいです。
――去年にはLiSAさんやmarinaさんが出演する全国ツアーも夏に行われました。ヒットチャートでも上位に度々登場して絶大な人気を博しました。ここまで大きな話題になることを想像していましたか?
麻枝 なればいいなっていう、夢は、思い描いていましたけども。でも、ただ、そのためには、仕込みが必要なんで。だからいち、それは用意周到には、やっといたんすよ。
第1話放映……される前、にはもう、1stアルバムというか、あの
『Keep The Beats!』の、レコーディングに入ってまして。で、まあ売れるかどうかもさっぱり分からない状況で、さ、その時はまだ『
Crow Song』もリリースされてないし、そんな、ガルデモなんてものが流行るなんて……まだ全然分からないけど、波が来てから動いては遅いと思ってたので。だからいいタイミングで、その辺は、ちゃんと計算通り、き、あのシングルと立て続けにアルバムの……リリースまでね、漕ぎ着けられたと思ってて。で、ほん、レコーディング中にほんとに当時は、LiSAさん……とね、もう「アルバムが2万枚売れたら、2ndアルバム作ろうぜ!」と言って、「ほんとですか!? 約束ですよ!」とか言ってたんですよね、すっごい(笑) それがすんげえ懐かしくていい思い出で。もちろん2万枚は、平気で売れてるんですけど、まあそれは、2ndアルバムってのは叶わない……夢になっちゃったんですけど。すごい、最初にその、ガルデモが、は……レコーディングが始まったアットホームな空気っていうのが今でも思い出されて。本当に、5人ぐらいだけなんですよ。で、作ってて、ちっちゃいとこから始めて、1年間で駆け抜けた1年だったていうのが、すんごい、感じられます。
――去年の暮れに国際フォーラムホールAでガルデモのライブ、『Girls Dead Monster Last Live - Final Operation -』が行われました。私も参加したのですが、「一番の宝物」でLiSAさんが泣き崩れてしまった瞬間とか……。
麻枝 あれはもう、おれだって、画面凝視してたら、もらい泣きするから、もう……顔伏せたんですよ(笑) LiSAちゃんの目標は、絶対泣かないっていう、ライブだったんですけど。もうすでに、前のお客さんたちが、泣き始めてて。それでもう、堪えきれなくてっていう……感じだったみたいですね。
――どのように振り返ってますか?
麻枝 いいライブだったかどうかが、その場でよく分からなかったんですよ。もう客観的に見れなくて。で……あの、おれは、結果は全部ね、やっぱりお客さんの評価が全てだ……だと思ってるので、ホテルに帰ってから、打ち上げが終わった後、ネット巡回したら、みんなが「最高のライブだった」って言ってくれてて、みんながほんとに。こんな泣いて叫んだのは、もう、ライブは初めてだ、とかいう声も……見たり。それでおれはね、すげー、ようやく、そん時になって、「よかった、成功したんだ」って思って。2人にありがとうっていう気持ちとともに、あの……ライブ終わった後にね、あの
1人でホテルで泣い、
泣きながら、ネット巡回してましたねー。
――期間限定で終わってしまうのがすごく惜しいなとも思いますね。
麻枝 惜しいですよね! やってけばいいじゃんって、おれも思いますけど(笑) これからmarinaちゃんもLiSAちゃんもみんなおれも、それぞれ、別の道を歩んでいくんでみなさん、これからも応援、ね、お願いします。
――麻枝さんにまたお便りが来ていますので、こちらをご紹介したいと思います。
○お便り 「普段、お仕事をなさる際には、今日はシナリオ、今日は作曲、みたいに、気持ちを切り替えて制作しているのでしょうか?」麻枝 これはね、逆で、シナリオに詰まったら音楽に逃げて、音楽に詰まったらシナリオに逃げるっていうことを、二足のわらじをうまく使い……分けてて。逆におれからすれば、音楽だけひたすらしなければいけない音楽クリエイターとか、シナリオをひたすら打ち続けなければいけないシナリオライターは、大変だなぁってすごく思うんですよ。精神衛生上的に、1回煮詰まったらどうしようもないんですよね。だから、そん時にすっとかっ……こっちの仕事にしようって言う風に、心機一転できる自分は、逆にもう恵まれてて。どう使い分けてるかというよりも、とにかく、
片方で煮詰まったら逃げる、こっちに、って。そういう、逃げる逃げる逃げる、っていう感覚です、自分では。
――同じ創作ではありますけど、脳の使う場所とかは……?
麻枝 いや、脳の使う場所は完全に違いますね、ええ。
――去年の暮れに発売されましたラストシングル『
一番の宝物 ~Yui final ver.~』。麻枝さんにとって、この曲はとても思い入れ深い曲とのことですけども。
麻枝 思い入れ深いですね。ツアーも、すごく、ずっとやってきたからっていう成長もあるし、でアニメ……観て、そのユイの……気持ちも、分かった上でのもっかいの撮り直しの「final ver.」だったから。LiSAさんとにかく……歌声に……感情移入してて、歌声に魂がこもってて。素晴らしい曲におれはなったと思っています。
――先ほどの「Alchemy」と聴き比べるとLiSAさんの成長が。
麻枝 そうなんですよ! 歌がすごく上手くなってるんですよ。
○曲 「一番の宝物 ~Yui final ver.~」※少なくとも関東では、曲に被せて
交通情報が流された。
後半
――(番組のホームページの紹介)
――本日のゲストは、ゲームのシナリオライターで、昨年放送された人気TVアニメ『Angel Beats!』の原作・脚本・作詞作曲・音楽プロデュースも手がけられた麻枝准さんです。引き続きよろしくお願いします。
麻枝 はいお願いします。
<「
冨田明宏のアニソンのソムリエ」コーナー>
――このコーナーでは、アニソンの中から、私のおすすめの1曲をご紹介しています。今回は、冬に聴きたいアニソンということで、麻枝さんが作詞作曲した曲でピッタリな曲がありましたので、聴いていただきたいと思います。
○曲 「Last regrets」――『
Kanon』の舞台が冬なので。Keyの作品は季節感が出ているのも好きです。当時のPCゲームの業界でもこういった歌ありの(作品は珍しいですよね)。
麻枝 そうなんすよね、業界的にはまだ黎明期で、OPに歌を載せるっていうのは黎明期で、なかなかそういう風に……ボーカル呼んでレコーディングするってそこまで、予算かけられるっていう、業界じゃなかったんですよね、まだ。
――エポックメイキングと言いますか。そういった意味でも、すごく重要な意味を持った曲になっているなぁと思います。以上、「冨田明宏のアニソンのソムリエ」でした。
<「冨田明宏のアニソンのソムリエ」コーナー終わり>
――麻枝さんはこれまでに数多くの曲を産み出してきました。そもそも音楽との出会い、それはいつ頃だったんですか?
麻枝 音楽は……中学1年生か小学5・6年かちょっとその辺は曖昧ですけど、音楽通がいまして。
TM NETWORKを……勧められて。聴いたらもう、ドはまりして。で、これを、同じことをやりたいっていう風に、やっぱり、思い始めて。で、当時
小室哲哉も、そういう『レコンポーザー(レコンポーザ)』っていうソフトで、ライブするときは、後ろに、ディスプレイがあって、そこで、その『レコンポーザー』のあれが走ってるんですよ、データが。だから小室哲哉と一緒のソフト買って、で、小室哲哉の、あの当時で言うと「
EOS(イオス)」っていう、シンセがありまして、当時だと「B500」っていうんですけど、それを……買いまして。それで打ち込みを始めました。あの、TM NETWORKの……バンド譜を買ってきて、それを打ち込んで「EOS」で再現するってことを繰り返して、自分の中で、「あ、作曲はこうするんだ」っていうか、例えば、まあドラムのパターンはこんな風なのがあったり、まあベースだったらこういう動きをするんだとか、そういうのを全部……バンド譜を打ち込んで、覚えていったんですよね。
――そういったことにのめり込んだ学生時代という感じですか?
麻枝 そうなんです。だから入学時ね、学年トップだった、高校生のね、成績がね、もうずるずるずるずる音楽だけやってるから落ちて行って(笑) 10位以内に、入らないとこう……指定校推薦っていって、受験せずに、大学行けなくて。おれ受験なんか、やりたくなかったから、なんとか指定校推薦に残りたいなと思って。もうずるずる落ちて行ったけど、なんとか10……番ぐらいに、なんとかギリ、最後残って、3年間で。それでなんとか勉強せずに……大学行けて(笑) 音楽一辺倒だったのに、「あーあ、よかった~」とか思って。大学時代……になって、唯一の親友で
中川って奴がいて。そいつ……も、TMが大好きで、俺らがいかにTMをリスペクトしてるかを見せつけるか、ような、アルバムを1枚作ってやろうみたいなことを、いきなり言ってきて。それで……あの「KIMELLA(キメラ)」っていう、ユニット名で、中川ボーカルで。で、打ち込みとかおれがもうアレンジとかは全部おれが、1人でやってて。当時は職人でしたよ。今ではそれこそ、編曲家の方に、投げますけど、そういう……しんどいところは。
――卒業後、どういった形でシナリオライターの道に歩まれるのか気になるんですけども。
麻枝 あー……要は、自分が作る音楽は、周りの人達は、絶賛するわけですよ。「麻枝はもう音楽で食っていけるだろう」みたいな事言われてて。おれはもうかなり……天……狗になってて、「おれぐらいの音楽の才能があったら、どこだって採ってくれるだろう」っていうぐらいなんかね、すんごい天狗になってて。それはほんとに井の中の蛙で。おれよりすごい奴らは周りにはいなかったから、それで、卒業後はもう絶対音楽の仕事をできるって確信があって、ゆったりしてたんですけど。で実際、就職活動始めたら、ま、ゲームが好きなんで、ゲームの音楽をつけたいってことで、ゲーム会社に色んなところにこう……面接に行ったり、書類送ったり、就職活動したわけですけども、もう箸にも棒にも引っかからない。もう……あるとこではいきなり、面接って言われてたのに、テストが来て。完全な音楽理論なんですよ。これを、あるキーに転調したらどうなるかとか、もうそういう……音楽理論ていうのは全然勉強してなかったので、基礎が出来てる人じゃないとダメなんだっていうことを思い知らされて。もう絶望的な……挫折感を味わって。ええ、ほんっとにもう、「あ、自分の好きなことで食っていけないんだ」っていう現実を突きつけられて、ほんとに……もう死のうかと思ったぐらい……どん底に落ちたんですよ、そん時に。
んで一応そん時に……あの、昔から、小学校の頃からあの……
ゲームブックっていうのが、当時流行ってまして。あの……行動がいくつかあって、何々にするには何ページへ跳べって言って、次は、その行動をするには何々ページへ跳べ、とか。そういうのが流行ってたんで。小学生の頃そっから、そういうゲーム的な、シナリオ的なところも作ってて、でそれ……とかもうゲームブックとか、自分が作ったら、新作が出来たらこうみんな友達から奪い合いになるぐらいに、「先にやらせろ先にやらせろ」っていうぐらい、すごい人気があって。で……あの大学時代もそういう……小説のコンペとかも送ってたりして。だから音楽ももちろんやってたけど、そういう風なことを昔からやってきたから、とりあえず、ほんなら、最後の賭け……で、もうシナリオライターで、どこか引っかかればいいなってことで、2社さんほどに、作品を応募したら、2社さん共からその作品……OK、通過……ええ、出まして。自分も驚くとともに、そん時はもうものすごい喜びでしたね。「あ、これでゲーム業界に入れるんだ」っていう、すんごい、あん時の喜びはね……忘れられませんね。
――シナリオライターとしてのキャリアがスタートしてからも、色々とご苦労あったんじゃないかと思うんですけど、いかがですか?
麻枝 すごい苦労ありましたね。だからその……一緒に、スタートを切ったっていう、
久弥直樹くんっていう俺から言わせればもう……天才がいまして。彼と一緒に、ずっと、2作……ほど、作品を携わったんですけど。もう彼は、とにかく、お客さんを泣かせることも、で、キャラクターの人気を取ることも、ヒロインの要は今で言う「萌えさせる」っていうことも、長けてて。もう同時にスタートしたはいいけど、まず、1作目でもうガクーンと差がついて。もう……そのゲームはすごいって言われてるけども、このプレイすると、「いやそんなに面白くないで」って「いやいやそっちは外れライターの方だから」っていう、外れライター扱いなんですよ。「こっちの久弥直樹っていう方が、書いたシナリオがすごいから、そっちをプレイしてくれ」みたいな事を言われてて。それでもうほんとに、どうやったら彼のようなシナリオが書けるかっていうのをね、研究する日々で。それですんげえおれは、
彼の後を追う形で勉強して頑張って、で、『Kanon』が発売された時に、最初のこう……オフィシャル掲示板の、リアクションが、自分のシナリオで、「すごく泣いた」とか、そういうのがぽっぽっと上がってきたんで。そん時に、おれにも、彼ぐらい、あの……お客さんを泣かせたり感動させたりすることができるんだっていうんで、あの時はすんごい、自分の中では自信になって。だからやっぱり、追いかけるべき……背中があったていうのは、すごく、今では感謝してて。彼がいなかったらほんとに今の俺はいないし、「泣きゲー」なんていう、そんな……あの、ジャンルも作れてないだろうし。うーん。
――2000年に発表された『AIR』という作品が、年間セールスで10万本を超えるヒットとなりました。当時としては空前のヒットですよね。
麻枝 もうすごかったですね。もう予約でもう10万超えてましたからね。
――この時にも、様々な楽曲を手がけられてますよね。
麻枝 まあ、数は少ないですけどね。ピンポイントでここぞっていうところは、書かしてもらってます。
○曲 「青空」――このLiaさんの歌声を、麻枝さんはどのように評価されてらっしゃいますか?
麻枝 まあ、あの、絶対に、あの想定……外の、ものに、化けさせてくれる。どんな曲を振っても、他の……人じゃ、絶対に、届かないところまで、行き着いちゃう。あれはほんとに、化けた瞬間はやっぱり、もう……レコーディングだったら、歌う前に、「まず1回練習ね」ってみたいな感じで歌うじゃないすか。もうそん時に、鳥肌なんですよ。「うわ! 化けた!」って。
――曲を何倍増しにも良くしてくれるというか。その出会いにもなったということで、『AIR』は重要な作品なんじゃないかなとあらためて思いますね。麻枝さんは、『AIR』から4年後の2004年に『CLANNAD』という作品を発表しています。人気が高くてその後アニメにもなりました。
○曲 「時を刻む唄」――この曲やっぱリズムがすごく特徴的ですよね。
麻枝 この頃から……「
変拍子の麻枝」と言われる(笑)
――ここでですね、お便りをまた紹介したいと思います。
○お便り 「自分は高校2年生で、ゲームのシナリオライターになりたいという夢があります。ですが、それで食べていける自信がありません。しかし、夢は諦めたくありません。そんな自分に、何か助言をいただけませんか?」麻枝 えっとね、ちょっと、ちょっとこれは長くなっちゃうんですけどいいですかね。あのね、まず、たぶん、例えば専門学校とかそういうね、ライトノベル科とかゲームシナリオライター科とか、通ってる……人たち、は、先生に教えられることと、おれは正反対なことをたぶん言うんですけど。
小奇麗に、まとめないように、した方がいいです。だから自分は常に、『AIR』も……『CLANNAD』もそうですけれど、学園恋愛ものっていうジャンルにしてるんですよ。で、開いてみたら、「なんじゃこりゃ!」って、驚きの展開が待ってるようにしてて。で、まあ『AIR』だったら主人公がいきなりカラスになってただただ傍観するだけになるとか。まあ『CLANNAD』も、要は学園生活が終わらず、そっからもう人生がずっと続いていって、結婚して、ヒロインが亡くなって、子どもが出来て……さらにね、その……あの子育てをこう……放棄してやさぐれてくみたいな、そんなストーリーが『CLANNAD』にはあるんですけど。こんなの、企画書は、他の会社だったら絶対通らない……し(笑) でも自分はこれまで、そんなゲームを見たことがないから、「うわ、なんじゃこりゃ!」っていうような、やっぱりその人の心に残るようなものを常に、作りたいってことを心がけてて。たぶんみんな、若いと思うんで、野心というものがね、あって、それがすごい、強い武器だと思うから。おれはちょっとね、もうちょっと丸くなっちゃったので、あんまりとんがったもん出て来ないんすけど、そんな、いきなり主人公がカラスになって(笑) そんなんもう出て来ないんですけど。みなさん若い、若さっていう武器があるから、ね、それをね、できるだけこう、見せつけて。そんな企画を、おれはね、今若い内に、やっといた方がいいと思いますね。もしおれが先生だったらそう教えたいですし。
で、あと最低限ですよ。社会……常識をね、アルバイトなりでもいいんでね、身につけておいてください。
社会常識や協調性がないと、絶対に1本のゲーム出来る前にチームが解散しちゃうんですよ。あのね、居酒屋とかでもいいんですよ。接客業務をとにかく、アルバイトで、経験しておくと、もう人に対しての接し方がもうすごく変わるから。ゲーム作るって、うちなんかもう1年じゃなくて2年以上、とか、かかっちゃうので、そんな中じゃほんとに信頼関係が一番大きいので、それが……実はすごく重要で。
――麻枝さんってやっぱりすごく独立独歩で孤高なシナリオライターというイメージがあるんですが。
麻枝 おれもちゃんとスーパーで、ピッ……ピッじゃないよ、当時はピッじゃないですよ、手打ちですよ(笑) もう……お客さんに文句言われるは、もう……なんか俺1人なっげーなんて長蛇の列ができちゃって「うっわ、誰もいない」みたいな、その色んな、あのー、窮地を味わってるので、ほんで、だから、アルバイトしてからは、コンビニで、おれは、支払う時も、「ありがとうございます」って口に出して言うようになったんですよ、それ以来。いいもんさえ上げればいいんじゃないかって言う風に考えちゃうかもしれないけど、いいもん、を、上げても、ダメなんですよ。やっぱり、上手く、人間関係やっていける人間じゃないと、長続きしないです。
○BGM 「Brave Song」――ここで、麻枝さんに質問のお便りが。
○お便り 「『Angel Beats!』のゲーム化、とても楽しみにしています! これからも頑張って下さい!」――AB!ゲーム化!麻枝 あのね、まだ正式には、会社としては、まだ……認可は下りていない、プロジェクトGoは出てないんですけど。春ぐらいには、それが、ほんとに可能かどうか……っていう……その、おれのシナリオの、進み具合、進捗状況を見て、そのラインを走らせるかどうかを、っていうのを決めるっていうラインですけど、まあ、間違いなくたぶん、
問題ないでしょう。今だから、今、自分の書いてる量のコンスタントが、10キロ(KB)っていう……量を書いてて、それは……まあ原稿用紙にしてまあ10枚にならない……程度の、量なんですけど、それぐらい書いてたら、もう全然……土日もなしでもう祝日もなしで、もう1週間毎日書いてるんで、なのですごい……どんどん溜まってってるので、別に、春のその……審査に、そん時の状況は別に、何にも心配ないと思います、おれは。
――やはりアニメでは語れなかった部分が語られたりとか?
麻枝 だから、全員の、もちろん過去のエピソードは、作りますし。で、ほんとは、こう……
主人公も、選べるようにできたらさらに面白いとは思ってて。例えば、直井を主人公にして、片っ端から、催眠術をかけていったら、すごい面白いじゃないですか。好きに催眠術かけられるんですよ、戦線のメンバーに(笑) 「お前はこうだ! こうだ!」って、みんな催眠術通りに動く、みたいな、そんな、シナリオがあったら、すげーおもろいなーとか、思うんすけど、それはもうちょっと、余力があれば……みたいな、ところです。
――紹介しきれないほどのお便りをいただいてまして。お名前だけ紹介したいと思います。(略)
麻枝 ありがとうございます。
――次回の『渋谷アニメランド』は、2月1日火曜日午後8時5分から。ゲストは、
河森正治さんです。最新作、『
劇場版 マクロスF 恋離飛翼~サヨナラノツバサ~』の公開を前に、作品に籠めた思いなどを伺います。ということで、本日は麻枝さん、本当にありがとうございました。
麻枝 はい! ありがとうございました。お呼びいただきありがとうございました。
――次回もお楽しみに。
~個人的感想~いやー、冒頭の『コープスパーティー』ではやられましたね!
一気に麻枝さんのペースに持って行かれたといいますか。
もはや「麻枝時空」とも呼べそうな勢いです。
AB!の紹介で2度ほど「天に帰る」という表現を口にしていましたけど、消えるとそうなるのでしょうか……?
公式設定なのか、はたまた“天使”的設定なのか……。
変なところで謎が生まれました。
そういえば、「LiSAさんとmarinaさん」という言葉もありましたが、あれも順番が逆じゃないk(ry
ガルデモ2ndアルバム、ゲームの発売の頃に出していただけないでしょうかねー。
岩沢時代のガルデモのアルバムとか大歓迎ですね!←
LiSAさんの歌が上手くなったとありますけど、ユイのボーカル役として歌う上で、わざと「上手すぎないように」で歌ってたはずです。
これは、ユイらしさを持って上手く歌えるようになったということなのか、LiSAさんの歌唱力そのものが上がったということなのか、最初に課した制約をユイの成長に合わせて外していったということなのか……。
しかし「Alchemy (Yui ver.)」より、ユイならやはり「Thousand Enemies」を流した方がラストシングルとの比較という意味でもちょうどいいんじゃないかt(ry
麻枝さんの歴史を振り返る上で、やはり「小室哲哉」・「中川くん」・「久弥直樹」の3人は欠かせない存在だといことがあらためて分かりましたね~。
色々な楽曲を手がけてるというなら、『AIR』(実質2曲)より『Kanon』(実質3曲)の方が多いですよね。
「ゲーム作曲家として夢を叶えた」というのも、やはりKanonなのではないかと思います。
OP(ボーカル)曲を書いたり、自分のシナリオを自分の曲で演出したり。
あるいは『MOON.』かもしれませんね。
『AIR』と『CLANNAD』は完全にネタバレですよね。
思えば、京アニ版『
Kanon』DVD第3巻初回限定版に収録されているコメンタリーでもその後のネタバレについて話してましたし(一応断りは入れましたが)、LiSAさんツアーライブのSHIBUYA-AXの公演でもアンコールについてのネタバレをしてましたし……。
「ネタバレの麻枝」という新たな称号を与えられそうです(何
AB!ゲーム化、ついに「問題ない」発言出ましたね!
主人公選択可能……入江を主人公にして楽しむか、関根を主人公にして入江にいたずらを仕掛けるんですね、わかりまs(ry
しかし実現可能性は……微妙ですね(汗
まずは、AB!ゲーム化を確実にプロジェクトとしてスタートさせるためにも、麻枝さんには無理はなさらないようにしていただきたいです……!
今回のラジオ、情報的には、そこまで大きなものは多くない印象もありました。
後半は既出情報が多めでしたからね。
そこはちょっと残念です。
しかし、それ以上の収穫がありました。
それは……
麻枝さんの声がたっぷり聴けたことです!『殺伐RADIO』には届きませんが、やはり麻枝さんの喋りを聴くと心が満たされますね!
いや、このラジオの存在を全く知らなかったので非常にありがたいです。
編集お疲れ様です。
最近だーまえの露出が増えてきて嬉しいですが、無理をされてないか心配です。
休みなく動かれているようですし、まずはご自分のお体を大切にしていただきたいですね。
だーまえ、愛してる! ←