『sola』 ――鍵っ子にもおすすめの久弥作品

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久弥直樹さんが原案を担当したことで鍵ファンにも(恐らく)知られているアニメ『sola』。
キャラクターデザインが七尾奈留さんという部分でも有名……かもしれません。

……実際のところ、知名度はどのくらいなんでしょうね、この作品(ぇー

ぶっちゃけますと、私も全話見たのはつい最近です。
『sola』見れどれどれ、といった感じで(何
しかし、もしマイナーだとしたら勿体無いなぁ……と思わせるような作品だったと思います。
久弥さんを知らない方にも、ぜひとも見ていただきたい作品ですね~。

以下、私の超個人的な感想を書こうと思います。
ネタバレは控えめですので、もし見ようかどうか迷っている人がいれば、参考にしてください(参考になるかは分かりませんが←



シナリオ

小さな世界の大きな物語

この『sola』という作品、本編13話+特別編2話という構成だが、1クールで上手くまとめられている。
主要な登場人物も7人と少ないが、それ故に登場人物の掘り下げ(過去など)や描写がしっかりしており、ストーリーの展開に上手くつなげている。
物語の展開には必ずしも多くの人物が必要ではない、ということを示したとも言える。(特段何かを意識しているわけではない)←

ここで「展開」という語を用いたが、『sola』はこの少ない話数・キャラ数で大きな展開を見せる。(もちろん詳細は記述しないが)
これができるのは、やはり設定や世界観等の基板がしっかりしているからであろう。
基板がしっかりしているからこそ、大きな展開を見せてもブレがない(少ない)、筋の通ったシナリオとなっている。


多くの物語には序盤からクライマックスや核心へと向けた伏線が貼られるが、この作品においてもそれは例外ではない。
初見では「これは何だ?」と思える謎を振りまくが、物語終盤にかけての伏線の回収は怠らず、そのほとんどが実にすっきりとした形で回収される。
よく物語の展開などに「大風呂敷を広げる」という表現が使われるが、この作品の場合は「後できちんと畳めるように大風呂敷を広げる」と表現したい具合だ。
設定がしっかりしているからこそ、展開してもきちんと回収できるのである。

驚きの展開を見せても、多くの謎が明かされず終いでは、非常に後味が悪い。
もちろん、全ての謎を明かすのは冗長となる上、視聴者の想像の領域を著しく狭めてしまうことにも繋がり兼ねない。
その点も、この作品は実に上手い。
想像可能な部分もきちんと残してあるのだ。
このバランスの良さが、ちょうどいい読後感(というのはやや変であるが)を与えてくれる。


ただ、世界が小さかったがために、ストーリーに少し間延びした印象もあったことは否定できない。
小ぢんまりとし過ぎたというと語弊があるが、しっかりと収まり過ぎていたとも感じられた。
(この点、特別編が上手く本編の補間として機能している)
作品自体の持つイメージがあまり“動”ではないこともあり、このあたりが『sola』の存在感を弱めているのかもしれない。


穏やかな「泣き」

さて、今回はKeyと関連させて久弥氏の作品を紹介したわけだが、ならば所謂「泣き」の要素に関してはどうなのか。
私はこの作品に“穏やかな「泣き」”とでも言うべきものを感じた。
この部分で泣ける、というものだけでなく、全編を通してこみ上げてくる感動、そして余韻
その時に来なくてもあとからじわじわ来るような、そういったタイプの感動、「泣き」要素がこの作品の特徴ではないだろうか。



キャラクター

キャラクターについても簡単に触れておこう。
先述した通り登場するキャラクター数は少ないが、故に個性や役割が比較的はっきりしている。
同時に、個性的だか突飛ではない、とも感じられた。
安定した良さがあり、それが魅力ではあるが、飛び抜けたキャラというのはいなかった印象である。

ただし、こよりちゃんマジ天使であり、繭子様マジ天使であることは特筆しておこう。
(キャラの傾向について意識してはいけn(ry



アニメーションとしての評価

ここまでシナリオやキャラクターといった要素について触れてきた。
これらはいかなる媒体に置いても物語の中核たる重要な要素であるが、アニメーション作品としての評価をする場合、これ以外にも評価に関わる要素がある。
そこで、アニメーションの演出である音楽や作画についても触れておく。


作品世界に溶けこむ音楽

音楽は良い。
ピアノやギター等をメインとした綺麗な旋律は、この作品の世界観によく合っており、魅力を引き出していると言える。
ただし、劇伴としては良いものの、記憶にはっきりと残る曲は少ないのが心残りか。

ボーカル曲は全体的に良曲揃いである。
1話冒頭にて夜明け前の風景とともに流れる「敏感な風景」には、多くの人々が心奪われることだろう。
この曲は『sola』という作品を象徴しているといっても過言ではない。
個人的にはOP曲の「colorless wind」が気に入っている。


「空」がやや残念

次に作画についてだが、まずまずといった印象である。
バトルシーンでのやや緩慢な動きについては、メインではないという理由でスルーできる範囲かもしれない。
しかし、空を主題とした作品において、雲がぼんやりしていた印象があるのはいただけない。
実写を取り入れたのは良いと思うが、それ故にアニメ絵(OPサビや次回予告等)での雲の描写が今ひとつに感じられた。
雲の動きというと『CLANNAD ~AFTER STORY~』のOPが記憶に新しい。
さすがにあれほどとは言わないが、ぜひともこだわって欲しかった部分である。

また、主人公の顎についても(ry



以上、私の主観ではあるが、『sola』の印象についてネタバレを極力避けつつ記した。
いくつかマイナス点も挙げたが、全体としては間違いなく良作であり、ぜひとも多くの人々に見ていただきたい作品である。

私は『Kanon』でしか久弥氏を知らないため、彼の作品の傾向について触れることはできない。
しかし、Key作品の基礎・基本たる要素は感じることができた。
同じく久弥氏を知らない新世代のKey作品のファンにもお勧めしたい

(今回、普段と文体が異なるのは、正直ただの気分である)



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アニメを観た後はコミック版もおすすめ。
ただのメディアミックス作品と思ったら大間違いというほどの作品。
また違う『sola』を見ることができる。


どもども
どうもお久しぶりです。
この記事に自称久弥厨の鍵っ子である俺がコメントしないわけにはいくまい、ということでコメントしますw

solaはアニメ作品としても良作だと思うし、鍵っ子が楽しむ分にも申し分ないできだと思ってます。主人公のアゴはどうしてもきになっちゃうでしょうけど、そこはスルーしましょうwww 本質はそこじゃありませんからwww

僕はsolaを見たときの印象は、「久弥さん、お帰りw」でした。古き良き鍵を思い出しました。Kanonのときに感じた独特の寂寥感、それはsolaにおいても健在。個人的にはAngel Beats!よりsolaの方が好きです。
爆笑ではないけど、クスリとくる笑い、クセになる笑い、ついつい日常で使いたくなる笑い(トマトしるこ)、そこはやっぱりさすが久弥さん。キャラクターについてもやっぱり久弥さんは相変わらずで、あの頭のネジが一本抜けたようなヒロイン、それで筋の通った信念、強さを持ったヒロイン、もう大好きです。アゴについてはもう語るまでもなk(ry
最終話でも完全に打ちのめされ、考察を煽るようなエンディングをみて、まさに鍵を創設した、鬼才・久弥直樹を強烈に印象づけてくれました。語らしてくれるなら延々語ります。solaでオフ会開けるなら喜んで幹事やりますよwww

上でも言いましたけど、個人的にはABよりsolaの方が好きです。俺が久弥厨だからってのもありますけど、やっぱ作品を覆う雰囲気はsolaの方が俺好みです。

長文コメ、失礼しました。。。
[ 2010/10/08 03:03 ] [ 編集 ] ▲TOP
この作品もAngel Beats!と同じくラストの締めくくり方に
様々な案があったらしく、個人的にはコミック版のほうが
少し救いのある終わり方で久弥節が感じられるかなと思いました。
ちなみに繭子様マジ天使なのはコミック版ラストのヒゲ繭子の
追加エピソードのほうですw
[ 2010/10/08 09:06 ] [ 編集 ] ▲TOP
Re: どもども
こちらこそ、お久しぶりです。
まさか二条さんからコメントを頂くことになるとは思いもかけず、恐縮至極であります……!

私もsolaは良い作品だと思っています。
あ、アゴはきちんとスルーできたので大丈夫です!(何

作品全体の雰囲気や構成は、AB!よりも安定感があったと思いますねー。
solaと聞けばすぐにイメージが浮かぶような。
AB!はその点ムラが大きかったように思えましたので、私もそこはsolaの方が良かったと感じています。
ヒロイン像も、なるほど、言われてみればその通りですね……!
(solaでオフ会というのも面白そうですが、私は完全にオーディエンスになりそうですw)

一つの物語としては、やっぱりsolaに惹かれるものがあります。
記事も気づけば明らかにAB!を意識した文章になっていましたw

今回は貴重なご意見ありがとうございました!
久弥さんサイド(ファン)の方の意見が気になっていましたので、とても参考になりました!
[ 2010/10/09 14:48 ] [ 編集 ] ▲TOP
>>ゆうさん
なるほど、やはりそれだけラストは重要だということでしょうね……。
コミック版も後に読んだのですが、あちらの方がよりソフトな(?)ラストになっていたように感じました。
これはアニメ・コミック両方とも見る(読む)べきですね。

コミック版ラストの繭子も素晴らしかったです!w
阿倍野さんの描くヒロインたちがまた可愛くてw
[ 2010/10/09 14:55 ] [ 編集 ] ▲TOP
実は何度かこのブログを拝見していたのですが、
かなり偏った見方しかできない管理人さんだと思っていました

しかし『sola』に関する本記事を読み
このブログの管理人さんはきちんと作品を見てる人なんだということがわかりました、本当にもうしわけありませんでした。無礼をお許しください。

久弥さんは、今のkeyのファン、とりわけリトバスやAB!などから入った人からすると過去の人かもしれません。
しかしkey創世記とりわけTacticsから「ONE」が出たころはゲームで、しかもアダルトゲームで泣くなんてまさかには思ってなかったので衝撃は計り知れないものでした。

その久弥さんが『sola』で戻ってきたとき、運悪く某京アニのアニメと放送次期がかぶり話題に上ることが少なく残念だったのを覚えています。しかし3年たっても『sola』についてここまで書いた人がいたなんてうれしく思いました。

私が、言いたいことはすべて書かれてますのでなにも言うことはないのですが(^^;)

彼が言いたかったこと、彼が残したもの、数は少ないけれど、どれもすばらしいものばかりです。

駄文もうしわけありませんでした。
これからも、ブログ楽しみにさせていただきます。



[ 2010/11/06 22:09 ] [ 編集 ] ▲TOP
>>コバさん
いえいえ、基本的に麻枝信者的発言ばかりしていますので、むしろ偏っていると思われない方が珍しいくらいです(汗
今回違うように思っていただけたのであれば、それは純粋にうれしいです!


最近では『ONE』をプレイしたことがない人が増えていますからね。
……かく言う私も未プレイで恐縮なのですが(汗
さらには『ONE』の存在自体を知らない人も多いのが寂しいです。
例え知ったとしても、やはり古い作品となると、どうしても最近の作品より魅力が落ちて見えてしまうんでしょうね……。

そう考えれば、『sola』は割と最近の作品、しかもアニメなので、久弥さんの作品の中では比較的触れやすい位置にあると思います。
そんな作品を、より多くの方、特に最近Keyに入ってきた方に観てもらえれば……と思って書いたのがこの記事でした。
ここまで大きくなったKeyというブランドの創世記を引っ張って来られた方ですし、本当に素晴らしい方だと思っています。
Keyの名前が広まってきた今だからこそ、久弥さんという方がKeyにいたということを、そしてこういった作品があるということを、ぜひとも知ってただきたいですね。


貴重なコメントをしていただき、ありがとうございました。
ご期待に沿えられるよう、頑張りたいと思います……!
[ 2010/11/09 00:45 ] [ 編集 ] ▲TOP
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